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第六分室の面々
「よし、じゃあ新人。 まずは自己紹介からだ。 名前と年齢、それと能力を教えてやれ」
ホワイトボードの前に立たされた小太郎は、香道に言われるなり大きな声量で自己紹介を始めた。
「うっす! では、えー……こほん! 自分の名前は春日小太郎! 歳は23っす! 能力は衝撃波を拳から出す事! 好きな食べ物は……!」
「そこまで言わんで良い」
興が乗って色々言おうとした矢先、香道に止められた小太郎がブーたれる中。
目を見開いた百草が椅子から立ち上がり、栗色のショートカットを揺らしながら興奮混じりの声色で……。
「えっ、衝撃波!? なかなかレアな能力じゃないですか、室長! どこで見つけて来たんですか、こんな逸材!」
「それは気にするな、つまらん話だ。 どうしても気になるならこいつに聞け、わたしは喋らん。 あと、あまりこいつに期待するんじゃないぞ」
香道時雨は自分の役目は終わったと言わんばかりに、先程まで読んでいた小説を再度手に取る。
そんな香道にオペレーターの百草千暁は────
「期待するな……って何でですか? この仕事に向いてる能力だと思うのですが」
「ああ、それは俺の能力が相手に触れられなきゃ発動しないからっすね」
「え……? 遠距離からは無理なんですか? ほら、衝撃系異能力の能力者はよくやりますよね? 遠くから衝撃波を当てたりとか」
「だから期待するなと言ったんだ。 そいつの力に遠距離攻撃は備わっていない。 更に残念なことに、そのバカの運動神経は並みだ。 近づいた瞬間に食い殺されるだろうな」
「えぇー……」
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