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予想していたものより遥かに使えなさそうな後輩に、百草千暁は誰から見ても分かるぐらい肩を落とす。
落胆される事に慣れているのか、はたまたそのおおらかな性格ゆえか。
小太郎は特に気にせず百草に笑顔を向けて謝った。
「すいません、百草先輩! 大した戦力になれず申し訳無いっす! でも俺こう見えて器用貧乏なので、雑用もこなせるっすよ! なんでも任せてくださいっす!」
(うーん。 雑用と言われても、今のところ特にやる仕事はないんだよなぁ)
百草は雑多に物が置かれた室内を見渡し、困ったように頬を掻く。
その様子を見た小太郎が手をパシッと叩き、こんな事を言い出した。
「うっし、んじゃ自分は掃除でもしてますね! 掃除もお手のもんなんで!」
「は、はぁ……じゃあお願いね、春日くん」
「やだなぁ、先輩! 俺の事は気軽に小太郎っつって下さいよ! 名字呼びは慣れてないですし、名前呼びの方が仲良くできそうじゃないっすか!」
(なんか距離感近いわね、この子。 苦手なタイプかも)
散らばった書類を纏める小太郎に苦笑いを浮かべながら、百草はパソコンで仕事を進めていく。
それを横目で見ながら適当な棚に書類を詰め込んだ小太郎が、ふとこんな問いを投げ掛けた。
「そういえば先輩の能力ってなんなんすか? 見た感じ対異界獣戦闘員じゃなさそうですし、やっぱりサポート系の能力だったり?」
「うん、よくわかったね。 君の言う通り、私の能力はサポート系。 一応分類的には電気系異能力なのだけど、攻撃には不向きな電脳回路操作異能力なの」
「エレクトロニカ……って、なんでしたっけ。 アーカイブで見た気はするんすけど、忘れちまって」
苦笑いしながら頭を掻く小太郎に呆れた百草は、部屋の隅に置かれた二台のドローンのうち、偵察用ドローンに意識を向ける。
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