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「あいつ、こっちを追うのをやめた? なにを…………ッ! まさか! いけない、花音隠れて! 広範囲攻撃が来るわ!」
「は、はい!」
案の定、立ち止まったゼフィアンサスは、空へと吠えると辺り一帯に雷撃を無差別に落とし始めた。
このままだと自分はともかく、小太郎が殺されるかもしれない。
そう判断したきららは咄嗟に異能を発動。
シールドを小太郎の頭上に展開しようとした。
「間に合って!」
が、雷撃の方が発動より一足速く、小太郎へと稲妻が────
「小太郎ちゃん!」
「小太郎さん!」
二人の叫び虚しく雷は直撃。
小太郎へと落ちた稲妻が、周囲に爆発を起こした。
「そ、そんな……嘘……………」
「小太郎ちゃん……!」
小太郎の死を目の当たりした花音は、余りのショックで膝を着き、涙を溢す。
きららも同じく意気消沈したが、次第にその悲しみは怒りへと変貌。
「この野郎! よくも……よくも小太郎ちゃんを!」
怒りで我を忘れたきららは、一矢報いようとトリガーを引き、ゼフィアンサスに特攻を仕掛ける。
「うあああああああっ!」
しかし相手はイレギュラー。
豆鉄砲を幾ら撃とうとも一向に倒れる気配がない。
「くっ、弾が……!」
何度トリガーを引こうが弾切れのマシンガンからは弾が出る事はない。
だがそれでも一心不乱にきららはトリガーを引く。
そしてついに訪れる終焉。
「あ……」
終焉の名は一筋の極光。
雷がきららに降りかかる。
「ごめん、二人とも……小太郎ちゃん。 あたしは結局何も……」
と、目蓋を閉じ、死を覚悟したその時。
思いがけない事が起こった。
「させるかよ」
「え……?」
どこからともなく現れた小太郎がきららを抱き寄せ、振りかかる雷へと右手を掲げた次の瞬間。
「吹き飛びやがれ」
「雷が……」
いとも簡単にゼフィアンサスの一撃を破壊してしまったのである。
右手一本で。
「こ、小太郎……さん? どうして生きて……」
雷と右手がぶつかる瞬間に起きた莫大な衝撃波に煽られた二人が、今しがた起きた奇跡に驚きを隠せないでいる最中。
今度こそ殺そうとゼフィアンサスがもう一度雷撃を放つ。
しかし、それは無駄な行動でしかなかった。
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