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虚空核 【テラーコア】
「────ろ。 起き──! 小太郎────きろ!」
なんだろう、誰かが俺を呼んでいる声がする。
聞き覚えのある声が俺の名前を呼んでいるような幻聴が。
「ん……この声は、確か……」
「いつまで寝ているつもりだ、このバカタレが! いい加減起きろ!」
「ぶっ!」
何度名を呼んでも起きる気配のない小太郎に苛立ちが募った香道は、つい鉄拳を顔面にめり込ませてしまった。
「いっ」
そのせいで小太郎は顔を両手で覆ってゴロゴロ転がる羽目に。
「てぇぇぇぇ! な、なんなんだよいきなり! ぐぉぉぉぉっ! これ……! これ絶対鼻折れた! 折れたってこれぇ!」
「こ、こここここ小太郎さん!? ちょっと何するんですか、香道室長さん! いきなり殴るだなんて頭おかしいんじゃないですか!?」
「ふん、わたしが直々に起こしてやっているのに起きんこいつが悪い」
「むっ!」
謝る素振りすら見せない香道の態度に腹の据えかねた花音が食って掛かろうとするが。
「ま、まぁまぁ花音ちゃん。 一応手加減してくれたみたいだし、ここは抑えて抑えて」
「手加減したから良いと言うものじゃないと思います! もし本当に折れてたらどう責任とるつもりなんですか!」
「それはそのぉ……へへ」
「喚くな、小娘。 これくらいでこのバカが怪我する筈ないだろうが。 頑丈だけが取り柄な男だぞ、こいつは。 心配し過ぎだ」
「はぁ? 頑丈だからってなにしても良いんですか? 言ってる事おかしいと思うんですけど。 ……きららさん、わたしこの人嫌いです。 一発殴って良いですか」
冗談抜きで今にも殴りかかりそうな花音。
それを止めようときららは香道の顔色を窺いつつ、止めに入る。
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