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「さ、流石にダメかな、殴るのは! あたしの為と思ってここは我慢してください、お願い!」
「ぐぬぬ……」
「……ふぅ、な……なんとか収まった。 せ、先輩もあんまり花音ちゃんを挑発しないでくださいよ。 この子、小太郎ちゃんの事となると人が変わるんですから。 ね、せんぱい」
と、愛想笑いをしながら宥めようとしたが、傍若無人、自己中心的、自分本意と悪名高い香道がきららの意を汲める筈もなかった。
「どうしてお前にそんな命令されねばならんのだ、胸糞悪い。 後その薄ら笑いもやめろ。 見ていると心底腹が立つ」
「は……はは。 うぅ……なんであたしばっかりこんな目に…………それもこれも……」
言いながら、きららは暗雲立ち込める顔色で小太郎の襟元に手を────
「ふひー、やっと鼻の痛みが……へ?」
「全部全部君のせいなんだからねー! うわぁぁぁん!」
「ぐがが……! ちょ、ストップきららさん! これ首締まって──」
この時小太郎の脳裏には、三途の川の向こう側で手招きをしている両親の姿が浮かんでいたんだそうな。
「ではこれより、今後の方針について決を取ろうと思います。 どちらかには絶対手を挙げるようお願いします」
三人が頷いたのを目視した花音は、手を挙げながら一つ目の案を口にする。
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