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手段
『春日くん、室長! 右から三体小型のカリオンが来ます! 応戦を!』
これで何度目の襲撃になるか。
最早数えるのも億劫になってきた一向の元へ、またもや狼型のカリオンが襲い来る。
『荒巻さんと魚沼室長はお二人の援護をお願いします!』
「がってん! 花音、行くよ! おりゃりゃりゃりゃー!」
百草千暁の指示を受けたきららと花音は、射線を確保するなりトリガー引き、掩護射撃に移る。
銃口から吐き出される弾丸の雨により、身動きが取れなくなるカリオン。
そこへ間髪入れず、外側から接近した二人が同時に──
「おらあっ!」
「はっ!」
『カリオン三体の撃破を確認。 周囲に敵影は確認できず。 ですが何が起きるかわかりませんので、警戒を解かずに進軍してください』
「聞いたな、行くぞ」
香道の一言に頷いた三人は黙々と後に続く。
そうしておよそ200メートル程歩いた地点で、ようやく発見する事が出来た。
「どうやら着いたようだな」
「あれが……」
中腹へたどり着いた小太郎達の前に現れたのは、紫色に発光する一メートル大の宝石、虚数空間歪曲性核石。
通称、虚空核である。
そのおぞましくもどこか厳かな存在に一向は圧倒され、ただただ見つめるばかり。
だったが。
「お前ら何を呆けているのだ。 さっさと駆除するぞ、動け動け」
「う、うっす!」
香道の手を叩く音で我に返った三人はそれぞれ持ち場に────
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