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それを聞いて百草は納得した。
二人のあけすけな口論や遠慮の無いやり取り。
怒りの裏にある相手を思いやる気持ち。
どれも幼馴染みの間柄だからこその距離感なのだと。
同時に、百草はこうも思った。
「これはなかなかの強敵出現かな。 荒巻さん、ファイト」
「ん……? どういう意味すか、それ。 強敵とかなんとか聞こえましたけど」
「なんでもないよ。 気にしないで」
「……?」
と、煙に巻かれた小太郎がバカ面を晒す一方。
香道と雪音の間ではこんな会話がなされていた。
「ふむ、依頼の内容は理解した。 だがこれはわたし達の領分なのか? 犯罪異能者の捕縛なら、第四分室の奴らが適任だと思うが」
そう、雪音が持ってきた案件とは異能者捕縛の依頼だったのだ。
「捕縛でなく殺害であれば、とっくに第四分室に協力要請をしていますよ。 ですが今回の依頼は殺害ではなく捕縛である以上、死神部隊と名高い第四分室……いえ、死神【氏月暝】に任せる訳にはいきません。 彼女が手を下したら、犯人がどうなるかはご存じの筈」
「チッ……確かにな」
あの小娘は女子供関係なく殺すだろうからな。
捕縛の仕事は向かんか、と納得した香道は渋々────
「わかった、この依頼うちで受けてやる。 ただし相手は異能者だ、五体満足で捕縛出来なかったとしても文句は言うなよ」
「ええ、心得ています。 クライアントにもそれは承知頂いてますから」
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