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11月の青天の下。次の掃除の日、私はいつもより早く掃除の場所に着いて斉藤さんを待っていた。
自転車をとめて、静かに鼓動する胸を抑える。
もっとオタク話がしたい。彼と話してみたい。
「こんにちは」
程なくして斉藤さんが自転車でやってきた。
いつもの黒いマスクだ。
私は、意を決して早口で準備していた言葉を吐き出した。
「斉藤さんともっとお喋りしたいんですけど、今日の掃除の後、お時間ありますか?」
……言ってしまった。
「大丈夫です。掃除の後、予定はないですよ」
いつもの調子で彼が答えた。
緊張で目を見られない。
遅れて訓練所の職員さんが到着し、今日の掃除もいつも通り始まった。
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