出逢い。

3/3

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「お疲れ様でした」  掃除が終わり、3人揃って施設を後にする。 いつもだったら一目散に別ルートで帰る斉藤さんが 自転車を押しながら私たちと話している。 「では、今日この後用事があるので」 斉藤さんは職員さんにさらっと告げた。 「お疲れ様です。気をつけて」 職員さんは何も気づかない様子で戻っていった。 「さて……どこで話しますか?」 「どうしましょうか」 そう言いながら私には一つあてがあった。 「そこのイオンでお話しませんか」  ちょっと冗談めかして言ってみた。ガツガツしているって思われたかもしれない。引いたかもしれない。 「いいですよ」  あっさり返事が返ってきた。 ほっと胸を撫で下ろす。  近くのショッピングモールの椅子で好きなアニメのキャラやゲーム、声優さんについて話した。  ……気さくな人だなぁ。女性と話すのも慣れてそうだな。 「ひょっとして、女性の友達多いですか?」 変なことを聞いたかもしれない。 「あの、慣れてるなぁって思って」 「慣れてないですよ。女友達は1人だけだし」 ……1人はいるんだ、と思った。  心なしか彼の耳が赤いような気もしたがきっと寒さのせいだろう。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加