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「お疲れ様でした」
掃除が終わり、3人揃って施設を後にする。
いつもだったら一目散に別ルートで帰る斉藤さんが
自転車を押しながら私たちと話している。
「では、今日この後用事があるので」
斉藤さんは職員さんにさらっと告げた。
「お疲れ様です。気をつけて」
職員さんは何も気づかない様子で戻っていった。
「さて……どこで話しますか?」
「どうしましょうか」
そう言いながら私には一つあてがあった。
「そこのイオンでお話しませんか」
ちょっと冗談めかして言ってみた。ガツガツしているって思われたかもしれない。引いたかもしれない。
「いいですよ」
あっさり返事が返ってきた。
ほっと胸を撫で下ろす。
近くのショッピングモールの椅子で好きなアニメのキャラやゲーム、声優さんについて話した。
……気さくな人だなぁ。女性と話すのも慣れてそうだな。
「ひょっとして、女性の友達多いですか?」
変なことを聞いたかもしれない。
「あの、慣れてるなぁって思って」
「慣れてないですよ。女友達は1人だけだし」
……1人はいるんだ、と思った。
心なしか彼の耳が赤いような気もしたがきっと寒さのせいだろう。
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