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「それで、渋谷課長のヒゲが何だって?」
「そう! 渋谷課長のヒゲが、毎朝、生えてるの!」
「あったりまえでしょ! 男の人なんだから」
ミナミは、呆れたように、言った。
「だって……結婚前は、生えてなかったもん……」
「バッカじゃない。当たり前に、剃ってたのよ」
「そんなの、聞いてない……」
波留は、しょんぼりと、呟くように言った。
結婚前の渋谷は、もう、ただひたすらに、仕事が出来て、カッコ良かった。
東大卒のエリートで、身長185センチでスラリとして、顔は、波留の大好きな、西島秀俊に似ていたのだ。
憧れの人と結婚出来て、夢のような生活を送るはずだったのに……。
それが、こんなことになるなんて、これっぽっちも予想してなかった。
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