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 それを見て、司は竹刀を正眼(せいがん)(かま)える(剣先(けんせん)を相手の目に向ける構え)。 「おやおや、やる気かい? おねえちゃんショックじゃないんだ。悲しくないんだ。強いねえ。でも、この狭い部屋で竹刀を振り回せるかな。それに竹刀じゃ人は切れないよ」  司は、問答無用で一閃踏(いっせんふ)み込んだ。  バシッ!  竹刀は、包丁を持っている男の右手を打った。男は、包丁を取り落とす。トンとテーブルに刺さった。 「いってー、おねえちゃん何段(なんだん)? 竹刀が見えなかったよ」  男は、司の第二撃が来る前に、包丁をテーブルから抜き取った。  そのまま両手を後ろに回し、テーブルから離れて司と対峙(たいじ)した。 「さあて、右から行こうか、左から行こうか」  右左に小刻(こきざ)みにステップしながら(すき)をうかがう男。  司は、躊躇(ちゅうちょ)せず再びダンと踏み込み、剣先(けんせん)で男のみぞおちを正確に突いた。 「ぐはっ!」  (ひざ)をついて座りこむ男。司は、その機を逃さず竹刀で包丁を持った手を打ち払った。飛んで行く包丁。更に竹刀を振りかぶる司。
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