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 「ま、待て、ランス。すげえじゃねえか。俺と組めば天下を取れるぜ。とりあえず金は好きなだけやるから、ちょっと待て」  後じさりながら訴えかけてくるゲインズ。  「おまえがこれから組むのは、地獄の亡者達だよ」  そう言い捨てると、ランスの爪がまるで槍のように伸びた。ゲインズの心臓を刺し貫く。  がふっ、と血を吐き出しながら、次期暗黒街の帝王と呼ばれた男は息絶えた。  「ランス……」震える声で彼を呼ぶアイリス。「いったいこれは……」  目の前の出来事が信じられない。夢なのか……。  「俺にもわからない。何があったのか。ただ……」  彼が視線をアイリスに向ける。その瞳はこれまで同様澄んでいた。間違いなく、あの正義感の強いランスの目だ。  「新しい命と強い力を授かった。どうすればいいんだ?」  しばし沈黙し、見つめ合う2人。  月明かりを感じ、アイリスはようやく彼に近づく。その腕にそっと触れた。  「ゆっくり考えましょう。これからのことは」  ランスが頷く。そして2人、歩き出す。  ビルの上から、一羽のカラスが見守っていた。                           Fin
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