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くそっ、ここまでか……。
廃墟ビルの一室で、ランス・イシモリは悔しそうに顔を顰めた。
体から力が抜けていくのがわかる。同時に血液もドクドクと流れ出ていく。
「さすがのタフガイ刑事もここまでのようだな、ランス」
あざ笑うかのような声。ドン・オガワ・ゲインズ――通称人食い・ゲインズが憎々しげな笑みを浮かべていた。
そのまわりには銃を持つ男が5人。ヤツの部下だ。先ほど彼らにより、ランスは腹部と右大腿部を撃たれた。
「どうする、ランス? 『あんたは最高だ』って言えばすぐに楽にしてやるぜ?」
勝ち誇ったかのように見下ろしてくるゲインズ。
ランスは下からその顔を睨みつけた。そして……。
「てめえは最低のゲス野郎だ……」
ゲインズの口元がピクリと痙攣した。顎で部下達に指示する。
銃声がいくつも響き渡った。ランスの全身に何発もの弾丸が撃ち込まれる。
意識は粉々に弾け飛んだ。ボロボロになったランスの体が廃墟ビルのフロアにドサリと倒れ込む。
「馬鹿なヤツだ」吐き捨てるように言うゲインズ。「一番嫌いなタイプだよ。正義漢ぶりやがって。その末路がこれだ」
ランスに唾を吐きかけると、ゲインズは部下達を見た。
「死体はどうします?」と1人が訊く。
「放っておけ。廃ビルにボロ雑巾みたいに捨てられているこのザマを見れば、他の刑事達にも良い見せしめになるだろう」
言い残し歩き出すゲインズ。部下達が後を追った。
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