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第二十六章第一節『それぞれの夢 それぞれの夏』
夏休み直前の登校日に
オレはナオトと放課後に話をした。
ミノリ「もう明日から夏休みだな。
今年の夏もナオトは赤か?」
ナオトは肩を落として
ため息をついた。
ナオト「赤だよ…赤点まみれで
今年の夏は楽しめそうにないや…」
去年の夏は卓球大会への練習をしながら
赤点を消していく努力をしていたナオト。
今年も赤点が残っているらしい。
ミノリ「去年大会行けたのは
なんでだったの?」
ナオト「初めての期末試験だったし
これからはブンブリョードーで…」
「って言い訳みたいなの言えたから
去年は部活出るの許してくれた
けど今年はだめだった。」
ミノリ「そんなことで通ってたとは…
言っちゃわりぃかもだけど、
まぁそりゃそうなるよな…」
夏を楽しめそうにないナオトに
オレがそう言って苦笑いしたあと…
夏を楽しむ気しかない
モモネがやってきて
モモネ「ミノリ!!明日から夏休みだね♡
明日海に遊びに行かない?」
ミノリ「モモネぇ…」
オレとモモネは
ほほえみ頷きあった。
ミノリ「いいね!じゃあ明日
待ってるから来いよ。
ナオトは赤点解消頑張れ!」
ナオト「えぇ〜…
その話ってオレの前でするぅっ?
オレが赤点貯めてたのが悪いし
まあしかたないか…」
「それにしても
ミノリとモモネはやっぱいいな…」
それを聞いてオレはモモネに言った。
ミノリ「モモネ、こんなヤツもいるからさぁ
発言には気をつけろよぉ!
たまにオレもしてしまうけどさ。」
するとモモネは
ちょっと慌てたように返してきた。
モモネ「そ…そうだったね!
ごめんね赤点王者のナオト。
解消できれば問題なしだよ!
頑張れ!」
モモネは少し不安そうに微笑んでいた。
こんなヤツっ…赤点王者のっ…
ナオト「それって注意してくれてんの?
イジってんの?」
ナオトはそのまま
赤点勉強道具一通り入ったリュックを
背負い家へと帰っていった。
モモネ「じゃあね!ミノリ♡」
ミノリ「ああっまたな!」
そう言ってモモネも
夏休みの宿題と手紙だけが
入ったカバンを手に
家へと帰っていった。
ナオトに変なこと
言い過ぎちゃったかな…
ナオト、
言い過ぎたかも、ごめん!
そんな後悔をした後
オレは帰る前にユウハのいる
ボクシング部の部室に向かった。
ユウハはボクシングの
自主練をしている最中だった。
ミノリ「ユウハはすげえな、
こんなときも練習か。」
ユウハ「うん。」
ミノリ「練習頑張るのもいいけど
ちょっとだけ
一緒に話さないか。」
ユウハ「いいよ。どうしたの?」
オレはサンドバッグの
側にあるベンチに
ユウハと一緒に座った。
ミノリ「最近オマエと話せてないなって
思ってんだけどさぁ…
ユウハはユウハなりに
学校楽しめてるのか?」
ユウハ「実は…楽しめてない
ってのが本音かな…」
ミノリ「たまにはナオトとか
モモネとかみんなで
久しぶりに集まって
雑談し合ったり遊んだりして
楽しまないか?…」
オレがそういうと
ユウハはすかさず首を振った。
ユウハ「オレ、この夏にある
高校生ボクシング
選手権大会に出たくて
今追い込んでるとこなんだ。」
ミノリ「だからしゃべれてなかったのか…」
ユウハ「終わってからならいいけど…」
第二節》
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