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1.Mission Complete ~香奈子からみたミーナ~
まだ親友と呼ぶほどの仲ではないけれど、仲良しのゼミ友・ミーナから『処女献上検討委員会』なるヘンテコな名前の女子大生グループについて聞かされたのは、五月の連休明けのことだった。
キャンパスはサークルの新歓も大詰めで騒々しかったが、図書館の中はいつも通りの平静が保たれていて、私はその学びの空間に癒された。私は個別にパーティションで区切られた自習コーナーで貸し出し禁止の資料を読んでいた。
二年生になって始まったゼミの課題は結構ヘビーだった。それにもかかわらず、同じゼミに所属するミーナは酷い手の抜き様だ。先週の発表は準備不足でボロボロだったし、課題本もろくに読まずに出席して教授の逆鱗に触れた。今週はちゃんとやってくるかしら、と心配していると、本人からLINEが入った。
【いまどこ?】
【図書館】
【香奈子は図書館好きだね。今夜泊りに行ってもいい? 報告よ! ミッション・コンプリート!】
ミッション? 教授がミーナにだけに課したペナルティ課題のことだろうと思った。
【もう終わった、ってこと?】
【YES!!!!!! ついに献上いたしました】
献上という漢字を見て私は即座にそれがゼミの課題ではなく、何を意味しているかを認識した。驚愕した。そこが図書館でなかったら、絶対に声を上げただろう。でも、あまりに早急な展開すぎて、自分の想像が合っているのか自信がなかった。
【うそでしょ。やった、ってこと?】
あまりに動揺して適切な表現を探す余裕がなく、送信してしまってから下品な代動詞だったと後悔した。
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