0人が本棚に入れています
本棚に追加
第三十一章第一節「青年からの狼男 ミノリの孤独の友」
オレにモモネが話しかけることは
夏休みが終わってからも長い間なく…
その間ずっとモモネは放課後に
リュークのもとに駆けつけていった。
モモネ「リューク♡
ごめん、待たせちゃったよね。」
リューク「モモネ!!
全然大丈夫…
今日も輝いてるな!!」
モモネ「リューク…♡
リュークの輝きには
叶わないよぉ♡」
リューク「じゃっ帰ろうか。」
オレのもとには
朝から放課後までずっと
見向きもしなかった。
アイツが…
リュークっ…だよな…
アイツがいるときモモネが
オレには見せない顔してる…
モモネとリュークのいる校庭を見て
同じ寒空の下で…
モ…モモネ…
もうオレなんてオマエには…
いらないんだなっ
そういう…こと…なんだよなぁ…
その後気づかぬ間に
オレは無口になっていった。
それはどんな人にもだった。
ナオト「ミノリ…
久しぶり、元気か?…」
ミノリ「あぁ…」
エミ 「ミノリ、
帰ったなら教えてよ。」
ミノリ「あぁ…ただいまぁ…」
モモネがいないということが
こんなにつらいとは思ってもみなかった。
そんなオレはあの人に謝りに行こうとした。
ミノリ「ごめん。オレ、
ホノカの気持ちを
くみとれてなかった。」
ホノカ「ミノリ…
また急にどうしたの?」
ミノリ「モモネがオレと
関わってくれなくなった。」
オレがモモネと楽しい日々を過ごしていた間
ホノカは今のオレのように
モモネと一緒にいたいのに
中に入れない苦痛と戦っていたのだ。
ホノカは少し驚いた表情を見せたが
すぐに落ち着いて聞いてくれた。
ホノカ「リュークにはモモネは?」
ミノリ「オレに見せないような表情で
幸せそうにしてる…」
「オレはもういらないんだろうな
って思ってしまうくらい…」
ホノカの目が少し曇った。
ホノカ「ミノリにモモネがってとき…
ホノカはそう思ってたの…
ホノカはもういらないのかなって」
ミノリ「ホントにごめん…」
オレがホノカに謝ると
一瞬戸惑い悲しみ
ホノカは申し訳なさそうに…
ホノカ「いやっ…けど…
カレシカノジョの関係が
モモネにもできたんだって
知ったとき嬉しくもなったから…」
ミノリ「ごめんはちがうって?」
ホノカ「うん。」
オレはホノカのこれまでの発言を
一通り振り返ってこの会話に挑んでいた。
やりたいことあったとしても
みな平等に平凡に過ごすことが
美だと考えているのだと気づいたんだ。
ミノリ「けど言っていたとおりだよ…」
ホノカ「何が?」
ミノリ「やらないほうが楽
だったのかもなって
今になって気づいた…」
オレがそういった瞬間
ホノカの目から涙がこぼれ落ちた。
ホノカ「ホノカ…実はそんなことホントは
他人に言いたくなかったのに…」
ミノリ「ホノカ…」
ホノカ「ホノカ的には
実際に感じていたことだけど」
「誰かに言えば
気持ちを悪くすること
わかってたのに…」
ミノリもホノカも
これまでの日々を後悔し合った。
ミノリ「じゃあ…
オレどうすればいいんだろうっ」
ホノカ「…力になれなくてごめんねっ」
第二節≫
最初のコメントを投稿しよう!