第四十一章第ニ節「フタリのくせと ナオトの言葉」

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第四十一章第ニ節「フタリのくせと ナオトの言葉」

 オレとモモネはこれまで  いろいろな壁に直面して…  ときに離れないという約束  ときに離れようなんて約束もしながら  二年間を過ごしてきた。そして… ミノリ「ごめん…     待たせちゃったよね。」 モモネ「大丈夫!!そうでもないよ。     何してたの?」 ミノリ「河川敷沿い歩いてたら     四つ葉のクローバー見つけて     モモネに渡そうと思って     寄り道してたんだ。」 ミノリ「なのにオレったら     モモネに見せたかったもの     あったのにどこで落としたんだ?」  モモネにプレゼントしようと  していた四つ葉のクローバーが  周り見渡してもどこにも見当たらない。 ミノリ「どこで落としたんだろう…     …ごめん。」  モモネは笑って優しく答える。 モモネ「そんなこと気にしないで。     また今度見せてくれたら     嬉しいな。」  モモネの穏やかな返事に  違和感をおぼえたものの  離れようとかいうのではないと  雰囲気から推測ができた。 ミノリ「…。なんかいつもの     モモネじゃない。     なんかあったの?」 モモネ「うん、ちょっとね。     実はいつものミノリとの会話で     気づいたことがあって…」 ミノリ「気づいたこと?」 モモネ「ワタシもだけどよく     ごめん…って言い合うけど…」 ミノリ「けど?」 モモネ「ホントはそんなに     謝る必要ないよね。     こんなにも仲いいんだし、     後悔してもどうにもならないし…」    「助け合えることなら     ごめんっは言わないでおこう。     きっと他の言葉で補えるよ。」 ミノリ「そうだな。」  そう言ったのにも関わらず  謝る癖はなかなか抜けない… ミノリ「モモネ、     今年も一年仲良く     一緒に居れるといいな。」 モモネ「居れるといいじゃないし…     言われなくても、     そのつもりだよ♡」 ミノリ「そっ…そうだよな♡     なんか変なこと言って…     ごめん。」   ごめん…あっ! モモネ「また…ごめんって言ったでしょ。     さっき約束したのに。」 ミノリ「そ…そうだったな…     これだったんだな…     ごめん…あっ…」   ごめん…あっ!  翌日にオレは久しぶりに  ナオトに話しかけられた。  モモネとの関係はどうなったのかって。 ミノリ「モモネか?恋戻せたよ。」 ナオト「モモネと仲良くなったんだな。     良かったよ。」  思い出話にハマっているナオトは  オレにこんなことも話してきた。 ナオト「ミノリ…そういえば     モモネもオマエにとっては     いまひとつなのか?」 ミノリ「急になに?     モモネもって…     なんかあったっけ?」 ナオト「ほら…2年前     言ってたじゃん。」  少し思い出そうとしたが  答えがはっきりしていたから  惜しむことなく率直に伝えた。 ミノリ「覚えてないけど     モモネはオレにとって     これ以上いない宝石級の     カノジョだよ。」 ナオト「やっぱそうだよな。     それなら良かったよ。」  そのことを聞かれてオレも  これまでの思い出に触れながら  ナオトに対する気持ちを伝えた。 ミノリ「ナオトのおかげだよ…     モモネとずっと居れたの。     ありがとうな。」   あっ…ありがとうって言えた。 ミノリ「始業式にナオトが     話してくれていなかったら」    「隣の席の人に積極的に     なんてこと弱虫のオレには     ムリだっただろうし…」    「モモネとこんな関係には     なれてないだろうし…」 ナオト「で…ありがとなって話だな!」  双葉公園で夏の放課後に見た  夕焼けが瞼を閉じればすぐそこに  見えそうに思えた。 ミノリ「ナオトがいなかったら     卓球辞めて恋愛も辞めて     みんなをがっかり     させてたかも。それに…」  そのとき卓球がうまくいってたが  赤点で頭がいっぱいだったオレは  その思い出を明確に思い出せなかった。 ナオト「あれ〜そうかなぁ?     そんなにオレって     ミノリにしてた?」 ミノリ「あぁ。」 ナオト「2年前のことにもなると     覚えてないことも     こんなにたくさんあるんだな。」    「けどオレのことそんなふうに     感じてくれてるって知れた。     嬉しいよ。ありがとう。」  そんなナオトだが思い出話だけでなく  核心を突くような話も投げかけてきた。 ナオト「それにしても     オマエとモモネって     不思議なくらいに     結ばれてるよな…」    「オレのおかげだとしても     その後も色々とあったのに     こんなに沢山のことあってもって」 ナオト「何か別の理由     あるんじゃねえか?」  そう聞いてきたナオトに  最初は軽く返答をした。 ミノリ「いやっそんなこと     ないと思うけど…」 ナオト「何か心当たりある?     例えば昔とかに何か約束とかさ。」  さらに聞き返してくるナオトに  オレは答え方を迷った。 ミノリ「ん〜っ…」  ナオトの言葉を胸に抱きながら  何か重大なことを見落としていないか  深く考え始めた。   けど…あり得るな…   約束とかがあったら   これまでモモネを困惑   させてしまってたかも… ミノリ「今はあまり     思い当たることがないや。」 ナオト「そうなんだ。     そうだとしたらもっと     ミノリとモモネはすごいな。」  ナオトに指摘された別の理由。  それがオレとモモネの関係に隠された  重要なカギとなっているかもしれない。   第四十一章 完結_____
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