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「・・・入院手続きはお姉ちゃんがやってもいいから、保険証とか、そういうの用意して。いろいろ買わなくちゃいけないものもあるし。」
運転しながらコオが言うと、間髪入れずに莉子は言った。
「私が全部わかってるから、私がやる。」
「…そう」
そうなんだよね、私がやる必要はないんだ。
父と一緒に住んでいるのは莉子なんだし。
そもそも、私は絶縁していたはずなんだから。
(それでも、この絶縁は一時休止せざるをえないだろうな)
コオは思った。
今考えると別に休止する必要もなかったはずなのに。絶縁したままにしておけばよかったと後で何千回思ったかわからない。
それでも、コオは一時休戦だ、とこのときはっきりと決心していた。
莉子を車で父の自宅まで送るのは10分ほどもかからなかった。
莉子を車から降ろし、コオは自分の家族の待つアパートに戻った。
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