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莉子は入院手続きは自分でやる、と言った。
それでもコオは仕事はその日は休んで、家にいることを決めていた。そしてもう一つ。
一時休戦だ、と。
コオは、今までずっと実家を避けていた、ことさらに母を。母が4か月前に亡くなってからも、それは変わらなかった。しかし、今回は感情に蓋をする。妹と父に対して家族として向き合う。コオはこの時点でそう決めていた。
父が亡くなる。
それは、いつか来ることだとはわかっていたが…母がなくなってまだわずか4ヶ月だ。
葬式のことも考えなければならない。母が亡くなった時に加入した葬式のための互助会の会費はどうなっているんだろう?いや、それよりも問題は、父の口座だ。亡くなると、銀行口座は凍結されてしまうだろう。
そこに思い当たりコオは身震いをした。
莉子は確かアルバイトしかしてないはずだ。父の口座が凍結されてしまったら、家賃は、父の自宅にいるから掛からないとはいえ、税金、光熱費等を考えると、即、おまんまの食い上げになるはずだ。家?家を売る?売ったとして手に入る金額は...それで何年暮らすつもりなのだ?
(「お姉ちゃん、莉子ちゃんをお願いね」)
母の声が、響いた。
ような気がした。
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