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たまごテスト
「5年に1度のたまごテストがやってきました。皆さん、緊張してきましたね」
卵が当たり前のように仕切り出した。
「お前リーダーなの?勝手に仕切んなよ」
納得のいかない玉子は怒っているようだ。
「まあまあ落ち着きましょうよ〜。ね〜」
たまごがやわらかい雰囲気で玉子をなだめている。
「楽しみっ。ふふふっ」
マイペースなタマゴはニコニコしている。
「とにかくenjoyしましょうネ!」
カタコトのエッグがなんとなくまとめた。
ここ、たまごテストの会場「殻くり仕掛けのスタジアムホール」には、卵・玉子・たまご・タマゴ・エッグの5人が集まっている。
簡単に言えば、たまごテストは自分の立場をきちんと理解しているかどうかのチェックだ。このテストで間違うようなことがあれば、失格となり、刑を執行される。
"みなさま、こんにちは。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。試験官の"キミー"です。お願いします"
棒読みのアナウンスが流れた。
"それでは、さっそくはじめていきます"
5人の前に巨大な玉子が現れた。次の瞬間、真ん中にぴきっとひびが入り、中の物が飛び出してきた。
【1st】白ごはんと醤油
「これはもちろん僕、卵ですよね。これは正真正銘、卵かけご飯です。なんせ、生ですからね。生の場合は卵。これは常識です。皆さん、文句はありますか?」
「まあこれはお前だな。早くいけ」
玉子が面倒くさそうに答える。
「それでは、いってきます」
卵は、勢いよく白ごはんにダイブした。
"せいかーい。卵かけご飯でした"
【2nd】ボーロ
「これはぼくだね〜。たまごボーロだね〜」
「待ってっ。私のタマゴボーロかもっ」
たまごとタマゴ。2人の立候補だ。
「ん〜。判断できないな〜」
「やばいねっ。どっちだろっ」
「いやお前ら、パッケージ見ろよ」
玉子の言葉で2人が目を凝らす。
「うさぎの絵が書いてある!かわいい〜」
「これは、私の出番じゃなさそうねっ」
「こんなにかわいいパッケージに包まれてるボーロなら、たまごボーロ、だよね〜」
たまごが、パッケージの中のボーロに体をねじ込ませる。
"せいかーい。たまごボーロでした"
【3rd】ベネディクト
「これは…who?」
「お前しかいねえよ。さっさと行け」
エッグが、パンとベーコンの上に半熟状態で飛び込んだ。
"せいかーい。エッグベネディクトでした"
【4th】白ごはんと醤油と子供
「え?また僕かい?」
「ちっ、つまんねえな。ほら行けよ」
出番のない玉子は、少し苛立っている。
「では、いってきますね」
「ん〜。本当にいいのかな〜」
たまごは首をかしげている。
「大丈夫。これは、揺さぶられるなというメッセージですよ」
卵は堂々と言い放つと、白ごはんに向かって、大きくジャンプした。どろっ、と着地。
"ざんねーん。たまごかけご飯でした"
「え…なんで…?」
どろどろの生卵は、驚いた顔をしている。
"子供が食べるんだから、子供目線のたまごにしないと。もっと寄り添って考えてね。じゃあ、刑執行"
観客席から執行人の"シロミー"が現れた。
「刑・執行ッ」
卵が、シロミーに包まれた。
「うわああああ!」
残った4人に、緊張感が走った。
【5th】四角いフライパン
「やっと俺の出番かよ。これは玉子焼きだな」
玉子は、勢いよくフライパンに飛び込んだ。
"せいかーい。玉子焼きでした"
【6th】晴れた日曜日/谷あさみ
「なんだこりゃ?」
「ん〜?」
「これは何なのっ?」
頭を抱える玉子とたまごとタマゴ。
「これはきっとSONG、曲ですネ」
エッグは、早くも理解していた。
「あー、歌詞ってことか。でも知らねえぞ」
「雰囲気で当てるしかないですね〜」
「谷あさみ、なんだかたまごっぽくないっ?」
「そうかな〜。けどそんな気がする〜」
「it'sたまごでショ!」
たまごが晴れた日曜日のCDに飛び込んだ。
"ざんねーん。エッグでした"
「うそでしょ〜?正解の歌詞はなんなの〜」
"早起きしてエッグベネディクトなんか作っちゃったりしちゃう日曜日♪"
「谷あさみ、腹立つな」
シロミーが、たまごを包んだ。
「わ〜〜〜〜〜」
残りは、玉子、タマゴ、エッグ。
【7th】名監督マークの息子・エド
「よく分かんねえけど、どうせエッグだろ」
「たしかにっ、外国人だしねっ」
「そんなにsimpleでいいんですかネ」
「でもヒントそれしかねえぞ」
「それもそうですネ。ではGO!」
エッグが、エドの顔に飛び込んだ。
"ざんねーん。卵でした"
「what!?なぜです!」
"名監督マークの息子。つまり"金の卵"ですよ。該当者はいないので、名乗り出なければせいかいでした"
シロミーが、エッグを包む。
「woooooooo…」
【8th】とあるお寿司屋さん
「よし来た。寿司は玉子。余裕だな」
「待ってっ。早い判断は危険よっ」
「これに分析も何もねえだろ」
玉子は、お寿司に飛び込んだ。
"ざんねーん。タマゴでした"
「は?嘘つけよ!なんで…あっ…」
玉子が上を見ると、外国人がお寿司を食べて微笑んでいた。
"タイショウ!イッツ、ジャパニーズタマゴ?ベリーデリシャス!でした"
シロミーが玉子を包む。
「くそがああああああ!」
【final】短編ドラマ「スウィーティー・ラブ」
「なにっ?短編ドラマっ?」
"自分の番が来たと思ったら、飛び込んでください。チャンスは一回です"
モニターが現れ、ドラマが始まった。
男性「実は…お前に話があるんだ」
女性「何よ。真剣な顔しちゃって」
「タマゴって意外と少ないのよねっ。このドラマにヒントがあるとすればっ…きっとっ…」
男性「結婚して欲しいんだ」
女性「冗談やめなさいよ。せっかく新しい商品のケーキを作ってたのに、気が散るわ」
男性「ケーキなんてどうでもいい。俺は真剣なんだ。ほら見てくれ」
女性「指輪…あなた本気なの…」
男性「ああ。俺との結婚生活は、ケーキよりもずっとずっと甘いぜ」
♪〜早起きしてエッグベネディクトなんか〜♪
「あっ、谷あさみ流れたっ。危ないっ」
女性「これから…よろしくね」
男性「ああ。よろしく」
見つめ合う2人。次の瞬間、画面が切り替わって、熱々のオーブンを写した。ピーピーと音がして、フタが開く。
「こっ、ここよっ!タマゴケーキよっ!」
タマゴは、モニターに飛び込んだ。
"ざんねーん。これはチーズケーキです"
「うそっ。タマゴの出番なんて、ここしかっ」
"あらら。また全員失格ですか"
シロミーがゆっくり、タマゴを包んだ。
「いやあっっっっっっ」
モニターには、谷あさみが映っている。
「どうも!谷あさみです!スウィーティー・ラブ、最後までご覧いただきありがとうございました!私の歌わせていただいたドラマの主題歌『晴れた日曜日』は、2ndフルアルバム『タマゴ気分』に収録されているので、こちらぜひお買い求めください!」
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