聖女

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聖女

「×××!」  私は自分の名前を、彼女の名前を叫びました。  それは果たして届いたのかどうか。  確認する術はありませんでした。  ただ、私は閉じたまぶたの裏に、彼女の笑顔を思い出すことができたのです。  強大な力に飲み込まれて、私はそのまま意識を失いました。  やがて聖女のたまごから生まれた光は世界を包み、聖女の誕生は世界中の人々に知れ渡ったのだそうです。  人々が聖女の名前を呼ぶことはありません。  聖女の名前を知るのは、聖女のたまごから力を受け取った聖女だけなのです。  ×××。  私の名前を呼んでくれるたまごは、あの子はもういないのです。
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