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親愛なる×××
この度、私はあなたを赦すことにしました。
これは非常に寛大な措置です。
あなたに拒否権はありません。
この手紙を受け取った瞬間から、あなたは司祭としての力を取り戻します。
その力を以って、一年間、彼女を導いてください。
聖女として大成するかどうかは、たまごとしてどのような時間を過ごすかによって決まるのです。
教会はあなたを咎人として罰しましたが、私個人はあなたのような考えの人間が嫌いではありません。
どうかそのやさしさを彼女へ向けてください。
あなたがこの重要な役割を全うすることを願っています。
一方的な内容に吐き気が致しました。
司祭であった頃、私は聖女様にお目にかかったことはございません。この国に数十人いるとされる司祭のうちの一人でしかありませんでした。
それがどうして、こんなに重要なお役目を託されたのでしょうか。
聖女のたまご。
その噂は聞いたことがございます。
聖女様は神のご加護を受けているため長寿でありますが、不死ではございません。
数百年という長い時間をかけて、その力は少しずつ衰えていくのです。
そして、終わりの時を悟った聖女様は、すべての力を失う前にたまごを見出し、すべてを託してお隠れになる。
私は先代の司祭様よりそのように聞いておりました。
数百年という周期ですから、生き証人などいるはずがありません。
聖女様が言われたことだけがすべてなのです。
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