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その日から、たまごは私と共に暮らすようになりました。
たまごは勤勉で誠実でした。
真面目過ぎて硬い、いいえ、とても堅い性格をしていました。
指示された以上に自分を律し、私の手を煩わせることはありませんでした。
聖女様の手紙には彼女にやさしさをと書かれていたため、私はよくできた彼女を褒め称え労うよう心掛けました。けれど、彼女が笑顔を浮かべることはありませんでした。
とても十五歳には見えない言動に不安を覚えることもありましたが、共に時を過ごすうちに親としての情に似たものを覚え、私は心から彼女のことを愛しく思うようになりました。
そのせいでしょうか、次第に彼女は私を疎ましく思っているかのような素振りを見せるようになり、二人の関係に罅が入ることもありました。
けれど、そのような危機を乗り越えることで、私たちは絆を深めて参りました。
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