6「もどらない面影」

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「私、透太くんと再会して、これで良かったんだって思ってたの。今こうして透太くんがまた写真を撮って過ごしてるなら、あの時、透太くんは逃げて良かったんだって。あの行動は正しかったんだ、ああするべきだったんだって、そう思ってた」 「……」 「でも、きっとそんなこと、無かった」 「……」 「何がなんでも、止めるべきだった」 私がちゃんと、止めていたら。 彼の手をしっかりと掴み、離さないでいたら。 そうすれば彼は、犯罪に手を染めることもなかったのかもしれない。あんなに大きな消えない傷を負わずに済んだのかもしれない。 「ひとりぼっちにさせちゃ、だめだった」 私のせいだ。 全部、私が悪い。 私が、選択を履き違えた。 なのにどうして、傷つくのはいつも、彼なんだろう。 「そばにいて、あげたかった」 堪えきれなかった涙が、喉につっかえていた言葉達が、箍を切ったようにポロポロと溢れてくる。 理仁の手に、ぎゅっと力が篭もる。少し掠れた声が「羽菜」と私を呼ぶ。 「…りひと、」 呼応するように、その名前を呼んだ。 いつも私を照らしてくれるひと。 正しい場所へと導いてくれるひと。 「私は、どうしたらよかったのかなっ…」 くしゃりと顔を歪め、手の甲で何度も目元を擦る。いくら拭っても止め処なく溢れてくる涙がやがてコンクリートに落ち、ぽつぽつと染みを作っていく。 「っもう、戻れないの…?」 3人で笑い合った、あの夜に。 星を見に行こうと約束した、あの瞬間に。 「…っわたし、戻りたい。透太くんが居なくなる前にっ…」 「…羽菜、」 「戻りたい…っ、もどりたいよぉ……っ」 到底 叶いもしない事を涙に濡れた声で繰り返し口にする私を、理仁は掻き抱くようにぎゅっと抱き寄せた。 痛いくらい抱きしめられるその腕の中で、私は声を殺さずに、まるで子供のように泣き続けた。 ───きつく閉じた瞼の裏側には、果てのない暗闇だけが広がっていた。

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