生ぬるい

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 頭がぼーっとする。携帯で時間を確認すると夕方六時だった。今日は夜勤で夜の一〇時出勤だからまだ少し時間はあった。ネットカフェでの仕事はたいしたものではなかったけど、三十五歳のフリーターなんて、いいように使われるのがオチだから、勤務時間が朝、昼、夜、お構いなくシフトが組まれていて、なかなか生活のリズムがつかめなかった。常にあまり寝た感覚がなくて寝不足の状態だった。だからと言ってそれに不満をこぼすようなことをして店長に嫌われるようなまねは出来るはずもなく、店長の意のままに働くだけだった。  そういえば、頭がぼーっとするなどと、年中感じているような気がする。今日は頭が冴えているな、なんて日はあった試しがなかった。だけど、仕事を替える気はさらさらなかった。たまにトラブルがあるにしても、ここ以上に人と関わらず働けるところなんて、そうないことはわかっていた。自分みたいな人間が人と関わったところで、楽しいことなんて一つもなくて、惨めな気分になるだけだった。
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