彩のヒトカケラ

1/8
前へ
/13ページ
次へ
いつも変わらない景色 だれかの大切な記憶 感情を揺らしたい僕と 感情が色でわかってしまう カメレオンとの生活が始まる どんな時間が待っているんだろう。 _______________________________ 見上げた空 なんだか気分がよくて 僕は何か高揚していた 魔法が、かかった瞬間 昼と夜の間からみえた景色 一話 彩 いつのまにか つま先から数歩の視界 何にでも揺さぶられたくはない 転んでしまわないように たくさんの視線はいらない 煩わしいんだ 僕と関係がない人ばかり 感情のアップダウンに 振り回されて 日常の彩りなんて いつから見ていないだろう モノクロならば、 痛い傷もなんかもみんな同じ 鮮明によみがえる記憶は いつだって何かを消し去る 大事なことを 大事だったことにしたまま 扉をしめて鍵までかけて みえないように沈めた    数歩先、不意に差し込む光に 僕は反射的に顔をあげた 彩られた空、景色に 目が眩んだ あわてて閉じようとした瞬間  視界の隙間に 違和感を感じたもの 魔法のような空模様 彩られた景色 行き交う誰か いろどりが豊かすぎるもの たくさんの色を放つけれど どの色もちぐはぐで あざやかでもなくて 違和感 胸のあたりが 落ち着ちつかなくなる それをみていると 不快感 違う これは あれは モノクロにした僕と カラフルな僕だ とても滑稽で どんな色をだせばいいか そんなことも分からないと 諦めた自分の姿だ あれを はやくしまいたい みられたくない   鮮明にしたくない記憶  いびつな色をまといながら 自分の彩ごと 鍵をかけた扉の場所 扉を開けられてはならない 「高鳴る鼓動が、かきたてたもの」_____ 2話 鼓動を揺らした色 ....... ひときわ異彩を放つ ひとに囲まれて 様々な感情にふれてしまう 自分の色など知らない 最初から色などなかった ひとは何故 好奇と複雑な気持ちで 視線をくれるのだろう そんな視線など感知したくない けれども この身体は勝手に 周りの雰囲気にあわせて コロコロかわるのだろう そんな姿みえてはいないけれど 身体が反応している 想像ができるだろうか 感情をだしたくても 他人の感情に先に反応する 反応する「   」 誰かがいうには カメレオン ただ それだけ 考えていることは 表現の仕方がない ただ 生きている それはわかっている ひとも、わたしも 取り囲むひとの中 駆け込んできた人がいる  わたしの瞳は 一滴の水滴のような 煌めきにならば 幾分反応できる あの人の 見つめる瞳に 揺れる 溢れる 煌めき たくさんの感情 視線 わたしは彼をみつけた 煌めくもの だけど ここにいる誰より苦しそうだ なぜ そんな風にみるのだろう そろそろ風がつめたい いつものどこかに 置かれたい 眠りたい 「一緒にかえろう」 眠りにはいる まどろみのなか いつもの帰り道とは違う  ゆらゆら同じ景色じゃない ゆらゆら揺られて 時間がゆっくり流れる -------------- 静けさのなか 目覚める いつも通りなら いつもの場所に置かれ 視線はなくとも 騒がしい雰囲気にいた いつも通りじゃない 一滴の水滴に そこに水があるとわかり とにかくのんだ 不意に視線をかんじた 静かさのなかに ざわつくからだ 水にうつる姿が 煌めきに反した 赤い 深いふかい深紅がみえた そして感じるもの 怒りだろうか わたしは怒ってはいない 苛立ちもなかった だけど今は違う わき上がるものを感じながら 空気を放ったひとが 涼やかな眼差しで こちらをみている 違和感 矛盾 この色は あなたの感情だろう? どうして 纏う空気は静かさなんだ ききたいのに 聞けない ききたいだなんて そういえば知らなかった感情 迷路のなかに入ってしまった 静かさと引き換えに 「感情が矛盾する ゆらぐ」 ______________________________ 3話 揺れる 矛盾  .................................................... 言葉は時に突き刺さる 僕の日常に ずっとあるもの 溶けてなくなればいいけれど 真ん中におかないように 意識はいつも どこかの端っこにいる あの子をみたとき ほおって置けなかった まるで いつかの僕のようだったから 優しさも 愛おしいまなざしも 全てかき消す 好奇という名の仲間外れ それとは違うから珍しい 一緒だと思ってしまったのは あの瞬間に 僕だけだとしても 勘違いだとしても 静かな環境で 休ませてあげたかった 休むことは難しい 長い人生の数日、数ヶ月   長い人生なんてみえないから   今日も不甲斐なさに   自分への苛立ちがおさまらない どうしたら 期待にこたえられたのだろう 期待にこたえなきゃならない 右みてひだりみて、 もう一回右みてススメ    視線から迷子になる この道しかないから この道の先に 何かあると信じているのに 身体とこころの本当は 矛盾しあって喧嘩している _______ あぁ、たくさんの色から 解放されているみたいだ 良かった    纏う色なんて一色で おなかいっぱい 綺麗な深い赤 それが本当の色なのかな 君のことを なにかで詳しくは調べない 食べて、のんで、休んで  静けさの空間 君が増えたくらいでは 騒がしくはならないよ そうだな 君の盾になれたらいい これからは たくさんの色じゃなくて 君らしい色でいてよ 名前はつけない 名前など必要がない 誰かに呼ばれなければ ないのも同じだろう 君に名前をつけたなら 僕が名前を呼ばなきゃならない そこまで優しくない やさしくなんてない 溢れてくるものは 二度と流さないときめた 濃紺の色を纏う君がみえる 似ているな 今の僕は 澄みきった冬の夜と朝の隙間 濃紺に広がる空を 小さな煌めきを見上げている 空気は凛として冷たくて 呼吸が形となっては消える 時がとまって 自分の呼吸だけがきこえる ひらひらと舞いはじめる淡雪 頬にふれて 冷たさを感じる前に とけていく 気持ちがほぐれていく 静寂の時間 23時59分から0時00分 00分の間に僕は夢を見る 0時01分 時がまたうごきはじめる 昨日から今日へ 僕は繋がれていく あの結び目を 結んでくれた以上の力で  更にきつく結んだこと 大切な想いをなくしたくなくて 忘れたくなくて きつく結んだあと ひどく後悔をした 本物の優しさを 偽りにかえたのは僕 はずれたら また結び治せば こころは傷まない そんな風には なれなかった 矛盾しながら 自分を曖昧において ゆらゆら揺られ過ぎて 強くゆられて 疲れたんだ だから 感情には いい揺られかたをしたい どんな揺られかたなら またあの結び目をほどく 勇気になるのだろう ほどいて 結ぶときはひとりだ いや あのカメレオンがいるか あの子なら 僕に干渉しないだろう 静寂でいたいんだ この奥底にゆるせない自分を 抱きながら そうしないと つまずきそうだから 怒りは悟られない 鍵のかかった扉の向こう側 鍵の置き場所はどこだっけ まぁいいや あける日がきたら いまなら 開けるかもしれない これも絵空事 「静寂に溢れゆく想いがある」 ______________
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加