誰もが通る道……？

　なんだったんだ、あのお客さん。
　ずいぶんイライラしていたし、アレだけを買いに来るなんて……前使ってたって言ってたヤツ結構新しい種類だから、寿命ってことはないよな。
　まったく、不思議なお客さんが来たものだ。

「あのう、すみません……」
「はい、何をお探しですか？」
　話しかけられた方を振り返ってから定型分を口にする。
　次も母親らしき人物と、今度は10代後半の娘さんらしき人物の二人組だ。
　娘さんはキョロキョロと辺りを興味深そうに眺めまわしているが、お母さんの方は少し青い顔をしている。
　これは、今度こそ娘にスマホの新機種を強請られたパターンだろ！　最近あの機種値上がりが激しいもんな、買うのがキツいと思うのは良くわかる。安めのプラン推してみるか……
「これと同じものを、探してるんですけど……」
「……え」
　俺はお母さんが差し出したスマホの画面に映ったものを見て、思わず声を漏らした。