もしも魔法を使えたなら~魔法の卵~

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 商業ビルの1階の無機質な自動ドアに『レンタルマジック』と紫と黄色の2色で描かれた店名。自動ドアの中に踏み出せば月色のカウンターがデデンと待ち構えている。左頭上には料金表がぶら下がり、右側にはたくさんのアクセサリーがぶら下がるバーと机が目につく。開店してから半年が経とうとしていた。  『レンタルマジック』は本当の魔法を貸し出す店だ。口コミもあってじわりじわりと客の数は増えているが次の手を打ちたいと思案していた黒と琥珀のオッドアイの青年店主は最近存在感を増してきたイースターのチラシを手ににんまりと笑みを浮かべた。  「卵、卵ね……うん、楽しいかも」  カウンターの奥からポスターサイズの黒板を引っ張り出すとポンッと手元にチョークを召喚して鼻歌混じりに期間限定イベントのお知らせを描きあげた。服を着た可愛らしいウサギが真っ白い卵を持っている。向かい側にはやっぱり服を着た可愛らしいウサギが色の付いた卵を持って楽しそうだ。そこには、  『レンタルマジック、イースター限定のイベントのお知らせ  来店してくださった方に魔法の卵をプレゼント! あなたが育むあなただけの魔法。問題が発生しない限り、一生モノの魔法があなたに宿ります。  (何かあったら対応しますから安心してくださいね)』
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