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家族連れやカップルで賑わう遊園地のベンチで、一人で暇を持て余す。家族が乗り物に乗りに行った!とか、彼女が飲み物買いに行った…とかじゃない。聞いて驚け?デートに着いてこいと連れてこられたんだ。
俺の幼なじみの多賀咲祐介と桜葉美羽が小学生の頃から付き合っていて、その頃からずっと一緒だが必ずデートに付き合わされる。いや普通それはどうなんだ??と、小学生の頃から未だに思うが言ったところで瑞稀だから大丈夫だろって不思議そうな顔をされる。どんな感覚してんだよ。
祐介は爽やかなイケメンって風貌してる癖に気に入らないとすぐ手を出すような危ない男で、しかも力が強くレンガも握りつぶせる剛腕の持ち主…いや人殴ったら死ぬだろって思うが、美羽と俺がストッパーとして一緒に居るようになった。
美羽は男から人気も高かったが祐介しか見えないと言わんばかりに一途で、まさにお似合いといったカップルだと思う。
「瑞稀く~ん!」
呼ばれてそちらを見ればジェットコースターから降りてきた二人がこちらへ歩いてきていて、美羽は嬉しそうにこちらに手を振るので振り返そうと思ったが背後でフードとサングラスの怪しい男が懐からナイフを取りだしているのが見えた。明らかに狙いは美羽のようだが、祐介に言ったら殴り殺しかねない。
俺は駆け出していて美羽の元まで走り腕を掴んで祐介にぶつければ腹に痛みが走る。恐る恐る視線を下ろせばナイフが突き立てられていたが引き抜かれ血が吹き出す。
どさりと倒れ込んでしまい辺りは悲鳴に包まれた。祐介は俺の腹を押えながら美羽に電話を頼んでいるのが薄れゆく意識の中で見え、死ぬのかなと思いながらも意識を手放してしまった。
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