たまごの取締人

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202✖年、新型ウィルスの治療薬が完成すると人の移動規制が緩和された。 所が鳥インフルエンザが猛威を振るい、国内だけで鶏の殺処分数が飼育数の10%を超えた。 事態を重く見た政府は急遽臨時国会を召集。 新たな新型ウィルスの発生抑制と現存ウィルスの蔓延防止策として新法案が可決された。 『鳥類たまご取締法』 畜産法関連や食品衛生法関連と同等の扱いになるだろうと踏んでいた事業者は法令の詳細が明らかになると困惑した。 飼育や出荷だけに留まらず、飼料の入荷や加工、加工品の販売ルートまでを徹底的に隔離した作業場で全てを完結させる法律だったからだ。 しかも『鳥類』全ての『たまご』に規制がかかる法律は国民の反感を買うのに時間はかからなかった。 違反した罰則も厳しく、法令を取り締まる新たな部署まで設置される。 加工品に至っては『たまご』を使用しない食品を探す方が困難だ。 『たまご』は食品だけに留まらず、その殻は食器や農業用肥料にも使用されている。 新型ウィルス流行で財政がひっ迫した事を踏まえた政府の苦肉の策だった。
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