たまごの取締人

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事業場に到着。 完全隔離施設とはいえ、普通の工場を想像していて僕は度肝を抜かれた。 SF映画にでも出てくるかの様な要塞。 ドローンが数台、門らしき所で旋回している。 建物に近づくとセンサーが反応したのだろう、出迎え?のドローンが車全体を撮影。 『登録外の車両につき、ご用件を承ります』 ドローンが機械的な音声を発する。 助手席に座っていた調整官が窓を開けて身分証を提示した。 「農林水産省からきました。『鳥類たまご取締法』届出に基づく監査を行います」 ドローンの1台が調整官の提示する身分証を撮影している。 暫くすると「どうぞ、ご案内します」と機械的ではない音声が聞こえた。 人の出入りも極力制限されている様で、行く手に人影が全く見当たらない。 重たそうに扉が上がる。 『車両消毒を行います。停止線まで進みエンジンを切り、車を完全に停止して下さい』 って、ガソリンスタンドの洗車機。 洗車機と違うのはコンテナの様な密室だったこと。 有人環境で使える除菌ライトと除菌スプレーが車両にくまなく降り注ぐ。 僕は薄紫色の光が車を包むと何となく目を閉じた。
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