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通路に点灯するランプが行き先を示す。
暫くすると水族館を思わせるアクリル板で覆われた場所に出た。
下方を見ると小川が流れる草原?で放し飼いの鶏が自由に草をついばんでいる。
「へぇ。放し飼いか。しかも空調と日照時間調整も自動で非接触」
「体温センサーも設置されていますね。鶏の楽園と言ったところでしょうか」
「たまごも自動回収ですね。小屋への誘導も自動の完全非接触」
バイオハ〇ードに出てくる地下都市ですか?
僕は何だか身震いした。
養鶏場で採取されたたまごは洗浄機を通る時に規格が分類される仕組みになっていた。
全てが自動。施設内でまだ人間に出会っていない。
調理ロボットでも出てくるんじゃないかと期待してしまう。
加工品として洋菓子類を製造しているらしい。
洋菓子工場に工場見学に行った子供の頃を思い出した。
工場内に広がる甘い香りに酔ってしまう程だった。
この施設は甘い香り所か、匂いが一切しない。
除菌室も消毒薬の様な独特な匂いもしなかった。
全くの無臭。
ああ、だから人がいる気配が感じられないんだ。
僕は身震いした原因が人気のなさだと実感する。
いくつかの製造ラインをアクリル板越しに見るが、作業人どころか監視人すらいない。
ここまで、無人の施設だと温かみが感じられず何となく違和感を覚える。
「人手不足も解消しているってことね。制御室には入れるのかしら?」
先輩が何気なく言った言葉に壁から反応があった。
「はい。このままお進み頂いて、制御室までご案内します。その前に飼料生産農場もご覧頂きます」
監視カメラが至る所に設置されていた。
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