翼を授けられた少女

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 鶏たちが自由に歩き回っていた。  鶏舎を飛び出した鶏たちは、太陽の光が降り注ぐ青い空の下を自由に駆け回っている。  少女は、その様子を鶏たちが居る柵の中から眺めていた。  麦わら帽子にサロペットパンツといった服装をしていた。  活動的で活発そうな印象を持つように表情が明るいのは、彼女持つ特徴だ。  その瞳は、好奇心旺盛な猫のように輝いている。  彼女は今年で十三歳になる中学二年生の少女だった。  少女の名は、梅村(うめむら)美里(みさと)と言う。  ここは田舎町にある養鶏農家である。  この家は両親と共に、祖父母も住んでいる。  そして、鶏たちがいた。  鶏たちも自由に動き回り、青空の下で羽ばたいていた。  美里が飼育している鶏は全部で500羽ほどいる。  そんな沢山の卵を生む鶏たちを世話するのは大変だが、やりがいのある仕事だと美里は思っていた。  梅村農園では、鶏を平飼いにしている。  【平飼い】  これは、平らな地面の上で放し飼いの状態で飼育する方法。  自由に動き回れるので体力がつき、病気になりにくい健康な体に育ちます。鶏たちは一日中地面をかき回したり突いたりして昆虫を探したり、穴を掘った地面に体を擦り付けて砂浴びをする。  鶏本来の行動を制限しないことで、できるだけストレスを与えないようにすることで、薬に頼らなくても健康で丈夫な鶏に育てることができる。    日本の養鶏場の約90%以上が鶏をケージの中で飼育する「ケージ飼い」で鶏を飼育している。  鶏舎で敷地いっぱいに並べられた小さなケージに何羽も詰め込まれ動き回ることのできないスペースの中で飼育される。作業効率は非常に上がるので人件費・設備費などのコストを削減できるので、卵の大量生産・安価での供給を可能にしている。  しかし、ケージの中で動き回れない鶏は病気にかかりやすく、予防のために抗生物質や抗菌剤を与えられる。
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