金のたまご銀のたまご

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金のたまご銀のたまご

 脳までも揺さぶりそうな喧騒が、辺り一帯に響き渡っている。  最近まで鬱蒼とした樹木に包まれていたこの場所も宅地化の波に押され、次第にまっ平らな味気ない土地へと変貌されていく。  今日も宅地への造成は順調に進んでいる。 「暑いって、まじ暑過ぎだって」  この工事現場には、日当の良さに惹かれてやって来たアルバイト学生のAとBが雇われている。契約期間は1か月で、今日はその七日目だ。  真夏の労働経験のない彼らには、猛暑日の肉体労働は想像していた以上にキツかった。  それでも彼らが続けられているのは、心の拠り所となる二時間ごとにやって来る休憩時間があるからだである。  中でも一番心待ちにしているのは、一番長い昼食の休憩時間である。 「や~っと、昼かぁ」  彼らは首に下げたフェースタオルで、汗を拭いながら昼食へと向かう。  彼らが昼食に選んでいる場所は、現場から少し離れた、若干の高台へと繋がる坂の途中、樹齢何百年かと思わせる大木の下である。そこは、木陰も広く芝生もきれいなのだ。  木陰に入ると、二人は半分ほど残っていたペットボトルの水を一気に飲み干し、持参の弁当を広げた。 「あとでコンビニ、行くよな」 「もち(ろん)」  いつもであれば、昼食後はその木陰でかりそめの睡眠をとるのだが、今日の彼らには命綱である500mlペットボトルがあと2本しか残ってなく、非常に心もとない。前日までと今日では暑さが全く違うのだ。  なので、昼食後の残りの休憩時間の過ごし方は仮初めの睡眠よりも、最寄りのコンビニに行き、飲み物を買い足すことが優先であった。  だが、その条件を満たすには急いで昼食を取る必要に迫られる。
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