金のたまご銀のたまご

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「それは、え~と…」  少し考えて、緑の女性は思い出したように続ける。 「…ああ~、そう、そう、これは子宝には恵まれるたまごなのよ。3~4回程度擦るとだけど…どうでしょう?」  付け焼刃的にも聞こえるその言葉。  本当なのか?はたまた、付け焼刃的に出た口から何とかなのか?学生Aにとっては疑わしい言葉この上ない。  それでも、不可思議な存在の宣う言葉である。全く信じないと言うのも憚られる。  もしも本当であれば、実家が神社と言うこともあり、まんざら悪い話ではない。それに、この後の展開に興味も湧いて来る。 「それであれば実家の神社でモニュメントにしたいので、子宝のシンボルに見えるような更にひと工夫が欲しいのですけど…」  参拝者に拝観いただくには、それなりの見た目が重要であるのだ。   学生Aはそう言い、そっと緑の女性の顔を覗き込み様子を窺う。  すると、彼女は少し恥ずかしそうにもぞもぞとしながらも、その対応を承諾してくれたのだ。  彼女は金のたまご2つに加え、銀のたまごの代わりにあるものを用意してくれたのである。  それは銀色の棒上のものであった。  彼女は、大木から20cm程の枝を折り、一瞬で作り上げたのである。  これらをどの様に飾るかは、両者にとって言わずもがなである。  結局、学生Aはそこまで誠意を見せてくれた流れ上、それを受け入れ、緑の女性を信じることにしたのである。
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