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辺りを見渡す。ここはどこだ。オフィスだ。作業途中に寝るには、あまりにも太陽の位置が悪い。昼休み前だというのに呆けてしまったのだろうか。
そうして、気付く。俺が、そうするべきだった。
「課長、お疲れですか?」
「……へ?」
「うたた寝をされているのかと」
「いやぁ、疲れてたのかな」
「ふふ、そうですね」
なんだか、彼女の唇が、黄色く、見えてきた気がして。
「課長」
にこりと笑う彼女を見てふと思う。
俺は課長だったのか? 彼女は社員だったのか?
なぜこんなにも、汗が噴き出している。
まるで、俺の方が。
ガンガンとうるさく響くノイズに、喝を容れようとしているのに、どうにもすることができない。
ああ。どうして。
「まだまだ、味あわせてくださいね」
だからもう少し、ゆっくり味合わせてくださいね。彼女はそう言ってわらう。
俺はどうせ価値がない。
だから生まれ変われるのなら、おいしく、中から外まで美味しくいただけるものに生まれ変わりたいと思っているのだった。
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