プラトニック・エッグズ

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 本当に卵に入ってくるとは思いもいなかった。  20××年。  戦争がなくなり、人類は急激な人口増加に悩まされていた。このままでは近い将来、天然資源が枯渇する。  そこで、政府が打ち出したのが、『プラトニック・エッグズ計画』  それは本当に結婚し、家庭を持ちたい人だけが子供を持つべきであり、その適性があるかどうかを体験できるサービス。  人々は、この政策を鼻で笑うかと思いきや、指示する意向を見せた。戦争、病、飢餓に勝利した人類が求めたのは新しい「自由」。  卵は本当に大きい。人が膝を抱えて丸まっているのと同じぐらいのサイズがある。クジラの卵だと言われても差し支えない。  そっと卵に手を触れてみるとピキピキと音がして、「え?」と戸惑っている間に、バキっと大きな音が続き、深い割れ目が入った。 「ええええ!」  私は慌てふためいたが、一度大きなヒビが入ると、そこから一気に縦に線が走る。  そして、バッカっと殻が左右に割れた。  現れたのは、同い年ぐらいの男の子。服は着ている。 「こんにちは、萌。俺は38番だよ。よろしくね」  卵の中の人は声も見た目も恐ろしいほど私好みにできて、私は怯むことしかできなかった。そして、彼はにこやかな口元、優しいまなざし。熱のこもった恋する瞳を私に向けた。  これが私たちのプラトニックな恋の始まり。
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