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魔王じゃァ🤣
「なにも心配することはない。あとは全部、この吾輩に任しとけ。グワッカカカ!」
魔王は豪快に笑ってみせた。
「はァ、なにを全部任せるんだよ」
ビーナスは呆れ返った。
もちろん娘は知っている。魔王が一度、言い出したら誰の意見も聞かないことを。
「ちょっとは私の話しを聞けよ。ジジーが!」
「ジジーではない。パパじゃァ! 吾輩は。ビーナスの言いたいことはすべてわかっておる」
「なんだよ。私の言いたいことッて?」
「二人で力を合わせ、ローカル−1を制覇し、深夜のバラエティの冠番組をゲットすることじゃァ!」
魔王はグッと拳を握りしめ、ひとりで盛り上がっていた。
「いやいや、なにをひとりで盛り上がってるんだよ。私を巻き込まないでッて!」
呆れ果ててビーナスは顔色を曇らせた。
「この道を行けばどうなるものか。迷わず行けよ。行けばわかるさ。ダァーーーッ!」
天高く腕を突き上げた。
「あのなァ、わからねェよ。ア○トニオ猪木か?」
「良いか。吾輩にはビーナスがついておるんだからなァ。文字通り勝利の女神が微笑むんじゃァーーッ!」
魔王は歓喜の雄叫びを上げた。
「うッううゥ……、上手くねえェよ」
ビーナスは眉をひそめ唸ることしか出来ない。
こうして魔王とビーナス父娘のお笑い芸人としての幕が開いた。
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