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「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」
優しそうな雰囲気の店員に案内され、一番奥の二人掛けの席に座った。
壁掛け時計が指す時刻は、13時05分。私は10分間も店の前で躊躇っていたのかと驚いてしまった。
そして、約束の時間になっても現れない河野せせらぎさんは、今のところ何のメッセージも送ってきていない。
もしかすると、13時丁度に来たものの私の挙動不審な姿を見て引き返してしまったのかもしれない。
ああ、終わった。
「お客様、当店のおすすめのメニューをどうぞ」
突然、先程の店員がテーブルに頼んだ覚えのないプリンアラモードを運んできて、思わず二度見した。
シンプルなデザインの小さなグラスの上に、美味しそうなプリンと季節のフルーツたちが綺麗に盛られている。
そして、カラメルソースがたっぷりかかったその上にはメッセージが書かれたチョコクッキーが乗せられていた。
<綾瀬かなたさん ご来店ありがとう♪>
少し歳の離れた姉のような雰囲気の優しい店員は、私の顔を見て、にっこりと笑いかけた。
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