しあわせたまご

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そういえば、昔、庭で飼っていた鶏は病気になったことが無かったな。元気に庭を走り回っていた。そうやな。人間も鶏も一緒かもしれん。元気やったら病気にもならへん。流行の風邪にも罹らへんなあ。 とりあえず養鶏をはじめたころに使っていた鶏舎に、田川から引き取った鶏を住まわせた。 田川が持ってきた特製のエサには、エサのレシピも添えてあった。 玄米、米ぬか、おから、牡蠣殻・魚粉などを混ぜ、自然発酵させてから与える。無農薬で育てた野菜も与える。飲み水に水道水は使わず、綺麗な井戸水を使う。 「空気」「日光」「水」「大地」「緑草」この5つが健康の秘訣。 なかなか手間がかかりそうだ。 翌日から啓二は鶏の世話に励んだ。 「お父さん、えらい頑張ってるねえ」 「ああ、死なせてしもうた奴らの供養や思うてなあ」 田川にもらい受けた鶏たちは、ノビノビと元気に走り回り、美味しい卵を産んだ。 あの時土産に貰ったのと同じ味だ。 自分たちだけでは食べきれないので、アパートの住人にタマゴや有機野菜を安価にてわけてみた。 「美味しい」「風邪をひかんようになった」「元気がでるわ」と皆喜んだ。
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