物語が咲く

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何をするにしても"初体験"ってのは素晴らしくワクワクするだろう。 ほら、初めて自分の両足で立てた時とかスゲェ感動しただろ? え?んな昔のこと覚えてるわけないって? 奇遇だね俺も覚えてないわ。 さぁこんな意味不明なことを考えてる俺の心境をご覧になれば分かるように…今、現在進行形で俺のテンションはアゲアゲだ。 「いやぁ人生何あるかわかんないもんスなフラットさぁん!!」 「それでこそ人生は面白いのでございます!」 俺が住んでいた屋敷のあるアメリカから、飛ぶ鉄の塊に乗って俺は…日本にたどり着いていた。 俺が住んでるのはアメリカだ。 アメリカだけど、バリバリの日本人だ。 父さんも母さんもバリバリの日本人だから、俺の体中の血管には日本人の血が走り回ってる。 だからなのか…"日本"という土地にたどり着いただけで、スゲェ嬉しい。 「いやぁ家出最高っスなフラットさぁん!!」 「ですが大変なのはこれからですぞ春馬様!」 ちなみに今は日本にいるのは確かだが、日本のどこにいるのかは不明だ。 まぁ今回の家出(?)の付き添いで、俺の専属執事であるフラットが着いてきてくれてるから大丈夫大丈夫! だって…俺、こんなにも自由に外に出たのって初めてなんだぞ!? しかも日本って、イェーイ!! 「では私はこれで失礼させていただきます。」 「イェーイ!!え?」 フラットは俺に深く一礼し、クルッと回って俺に背を向ける。 そしてそのまま立ち去ろうとし出す。 「ちちちょっと待てフラット、え!?こんな無邪気にはしゃぐ俺を放置してくの!?」 立ち去ろうとするフラットの前に回り込み必死で止める俺。 「いえいえ、あくまでもこれは春馬様の家出でございます。秋仁様からのご命令ですので致し方ないのでございます。」 「ウソマジで?」 さっきまでのテンションが一気に急降下。 いやいやいや、別にそんな事で俺の自立心を育てようとしなくてもいいんじゃないですか? てゆーか名目上は家出してるんだし、自立もクソもなくないですか? そもそもあれ家出なんですか?この星ではあれを家出にカウントしてもいいんですか? 「御心配なさらず。春馬様が家出をなさっている期間は私も日本で遊…影ながら春馬様を見守りますので!」 「おい今何て言おうとしたんだクソジジイ。」 完全に遊ぶ気満々じゃねぇかよ。 その歳でまだ遊ぶ元気があるとかある意味末期だよ。 …いや、そうじゃなくて…いくらフラットが日本にいるからって、結局は俺一人なんじゃ意味ない。 「ではっ!!」 俺が若干ネガティブな空気を纏ってしまった隙に、フラットは老人とは思えぬ速さで逃げ出した。 お前実はまだ若いだろ。 「…………え。」 …そして俺一人という状況に。 見知らぬ地に一人残された状況。 ウソだろ勘弁してよ、俺一人じゃ生きていけない子なんだよ。 寂しいと死んじゃうラビットハートを所持した男の子なんだよ。 「…ま、いっか。」 と、ネガティブに考えるのは止めにした。 そうさ、俺は今自由なんだ。 何にも縛られることはない。 「…よっしゃテンション上がってきたぁぁ!!」 こうして、俺の家出生活初日が始まったのだった。 とりあえず現在地が分からないし、そもそも目的地すらないから適当に歩き回ることに。 ……マジでどこだここ。 フラットが数時間俺を連れ回すだけ連れ回して逃げやがったせいで、マジでここがどこだか分からない。 周りはいつの間にか住宅街だった。 俺の屋敷に比べれば自己主張の足りない家達だが、それでも俺はそんな景色に感動する。 あぁこれだよ、こういうのを求めてたんだよ俺は。 「…あれ?そういえば俺、どこに住むんだ?」 そんな家達を眺めていると、ふとそんな疑問を口にした。 俺、一体どこで寝泊まりすりゃいいの?
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