序章

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序章

ここにある灯火はあんたの命さ。私がふっと息を吹きかければあんたをあっという間に消すことができる。 そうか、嫌か。 私は簡単に灯火を消すことができても、ただしそれは特別な理由がない限り手はつけない。 ここはこの世とあの世をつなぐ灯火の館。今日もいくつかの灯火が消えたねぇ。 死を選んだ理由はその魂の宿命さ。蝋の長さは人それぞれ長さが違う。ただしその者の行いによっては先程言ったように消えてしまうこともある。この世に人の命が生まれた時、蝋に灯火は点けられる。愚かなことに出過ぎた過ちを行えば当然突風が吹いて消えちまうのさ。 ああ、思い出したよ。こんなやつがいたねぇ。 ある行為がそやつの癖でいくら判定を下して灯火を消してもなぜか再び火は点く。さすがの私でさえ驚いたよ。命が惜しいのになぜか消えないやつの灯火。ただのしぶとい野郎かと思っていたが、そいつの理由が面白いもんだった。 ここで簡単に喋っちまうと話が終わってしまう。 さぁ、ここからちとそやつの話でもしていきましょうかね。
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