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マイロード、ユアロード
学校で出される課題のうち、作文が鬼門だという子は少なくないだろう。実際、私のクラスである五年三組の国語の授業にて、先生がその課題を言い渡した途端教室のあちこちから悲鳴が上がったのだから。
「今日は作文です。将来の夢について、原稿用紙三枚以上は書いてくださいね」
「三枚いいいいいいいい!?」
同じような宿題は、小学校低学年の時から発生している。しかし、四百字詰め原稿用紙三枚以上、までハードルが上がったのは初めてのことだったと言っていい。
がったん!と大きな音がして私が隣の席を見れば、同じ班の真冬ちゃんが完全に沈没していた。
「無理……絶対無理。あたし死ぬ。誰か骨拾っといて……」
「まだ原稿用紙配られる前から敗北宣言!?」
私のツッコミに、体育会系を地で行く友人は死んだ目で言ったのだった。
「人生において、あたしが大嫌いなもんが三つあんの。一つ宿題、二つ作文、三つ読書感想文!あたしが調査兵団に入ったら、巨人より先に駆逐してやるんだわぁぁあ……!」
作文と読書感想文って、同じようなものなんじゃなかろうか。心の中でそう思いつつ、私は乾いた声で笑うしかなかったのだった。
ちなみに、私は本を読む方ではあるし、作文もそんなに苦手というわけじゃない。むしろ計算ドリルやれと言われるよりよほど手早くできる課題だと言っていい。ただし。
――将来の夢って言われてもなあ。
それは、作文のお題によるのだ。
子供のころから、私はこのお題が大の苦手なのだった。
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