サングラス……。

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サングラス……。

墓参りの後で久しぶりの故郷を見て回りたいという姉のリクエストに応えしばしのドライブ。 姉と俺が通った小学校がその役目を終えて解体中だった。少子化の波というやつ。 姉の記憶にあるお店はほとんど残ってなかったが友達を訪ねてみたら二人会えた。 GW前の日曜日の昼間だから在宅率高め すっぴんで出てきた姉の友人は再会を喜んでくれてる様子だったが あんなに綺麗だった姉の友達も寄る年波には勝てずシワが目立ってた。 やっぱり女の人のピークは儚い 咲いては枯れる花のようだ。 一通り懐かしんだ後に向かった幼なじみの家、そこには幼少期家族同然の付き合いだったおばちゃんがいてね、会う事ができた。 もう八十代のおばちゃんは 何だか小さくなった印象だったが元気な様子でやはり再会を喜んでくれて。 『急に良いことがあっておばちゃん死ぬのかしら?』 再会のシメはそんな冗談だった。 おばちゃんにまた会いにくるねと果たせそうもない約束をしてる姉。 また会えたなら、いいな。 それからやっとご飯タイム ファミレスでいいねと向かった サイゼ、ガスト、バーミヤン、夢庵 姉と甥っ子が夢庵希望だった。 天ぷらがついてなんやかんやと小鉢の付いた和膳が食いてえとかでね。 食べながら姉からご報告 スマホを俺に向けた。 その画像にはカルティエのリングが キラリ メッセージカードには 結婚してくださいの文字。 姪っ子が昨日プロポーズをしてもらったのだとか どんな人?真面目な人?優しい人? なんかね嬉しくて俺。 姪っ子本当に頑張って良い大学出て 凄いとこ就職して一族の誇りのような子でね、 今日会えなかったのは残念だったけどプロポーズの次の日でいろいろ忙しいんだろね、新居はどうとか、式はどうとか、両家の顔合わせの段取りがどうとか。 俺にも一度会わせたいって言ってたとかでそれ聞いて反射的に それはやめとこうって言っといた。 何ならおじさんは死んだ事にしてもらった方がいい。 あの子が頑張ってたどり着いて掴んだ景色 それはあまりにも眩しくておじさん的にはサングラスが必要なぐらいで とてもじゃないが、どくだみ荘独居中年の俺が身内だなんて言えない。 だから会わないし式にも行かない。 ただ俺はうれしくてうれしくて お祝いだけは山盛りしようと決めた。
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