みち、みち、みち。

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みち、みち、みち。

 最近流行している都市伝説に、“三つの道を行け”というものがある。  これは猿夢同様、悪夢を見るタイプの都市伝説らしい。十代から二十代の男女に起きる可能性が高い現象であるらしく、ある日突然不思議な夢を見るというものだそうだ。  内容はいたってシンプル。  気づくと真っ暗な田舎道に立っていて、道を選択させられるというものである。  街灯がぽつん、ぽつんと立っているばかりの田んぼの道は、何故かどれもペンキのようなもので色を塗られているという。  三叉路になっており、一番左の道は黒。  真ん中の道は赤。  右の道は黄で塗られているそうだ。  ぼんやりとそこに佇んでいると、こんな声がしてくるらしい。 『迷い込んだものよ。道を選びなさい。  お前はあの方が来るより前に、道を自らの意思で選ばなければいけない。  さすれば祟りを受けることになるであろう』  いや、なんとも親切な怪異である。  ようは、この道のどれかを選べば祟りを受けずに済むと、そう教えてくれているようなものなのだから。  なんとも嘘っぽい都市伝説ですこと――OLの私も、そんな風に思っていた。最近は会社から帰ってくると、ネットでオカルト掲示板を見るのが日課となっていたのである。この都市伝説は、そんな最中に見つけたものだった。 ――嘘っぽいけど、ちょっと面白そうよね。誰かが作ったのか、それともこういう夢を体験したと広めた人がいたのか。  昔からお化け屋敷やホラー映画といった怖いものが大好きな私だ。こういう話を見ると、俄然興味が沸いてくるというものである。  そう、例えば――この都市伝説の場合。果たして三本の道、どれを選ぶのが正解ということになっているのか。そして、それぞれの道を選ぶと何が起きるのか。などなど。  明日は土曜日であるし、ちょっと夜更かしをしてもいいだろう。私は興味本位で、調べてみることにしたのだった。
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