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なれそめ
高校でもやっぱあんまり群れない感じで一人でいようとしてるナオだけど、それでも俺の側にいることには変わりはなくて。
中学3年の二学期だったかな。
俺は頭悪いんだけどさ、ナオはいいわけ。
同じ高校行きたくて、めちゃくちゃ勉強したんだよ、俺が。この俺が。
だけど、ココは微妙な都会のイナカで、まだヤンチャやってるようなやつらが街ででかい顔してるような場所でさ。
クラスの似たような友達とつるんでは、ケンカばっかしてた俺には、いざ勉強しようと思っても、そんな環境には恵まれなかったわけだよ。
街に寄らずに直帰しようとしても、校門前には出待ちの女子が…じゃなくて、派手なやからがたむろしてんの。
結局俺は、男手一つで俺と弟を養って来た父親には悪いけど、私立の高校に拾ってもらうことになった。
高校なんか行かなくても良かったんだけど、父親が行っとけ!って殴るもんだから、ありがたく殴り返してその高校に入学が決まったんだけど。
まあ、ナオとはもう、一緒にいられねえんだよなって思ってたんだよ。
そしたら、あの野郎、入学式の日の朝に俺ん家まで来やがって。
…おんなじ制服、着ててさ。
照れ臭そうにちょっと笑って、「クラス、多分同じ」なんて言いやがった。
おまえなら、全然もっといいガッコー行けたろ。
死ぬほど嬉しくて、その場で抱き締めて告ってた。
好きだって、言った。
頷いたのが、胸元にこすれたおでこの感触でわかった時喜びと言ったら。
もう、ウレションする犬。
ほんと、好き。
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