「知ってたよ」

説明

　こんな調子で、俺の大事な大事な大切な恋人は、俺には隠しているけれど実はΩと言う性だったりする。らしい。
　俺どころか多分周りみんなに隠してるんだと思うんだけど。

　Ωと言うのは、男女と言う性別の中でもさらに分かれている第二の性のうちの一つだ。
　第二の性には　―　α、β、Ω、の三つがあるっつー話で。
　簡単に言うと、αは身体能力や知能の高いエリート階級と言われてて人数はそんなに多くない。
　βは平均的な能力であり一番人数が多い。

　Ωは希少だけど、だいたい月に一度発情期と言う妊娠できる周期が訪れる性別で、αや時にはβを無意識に誘惑してしまうと言う性質があるらしくって、なかなか生きにくい場合が多い、―　と言うのが小学校、中学校の頃の保健体育できいた一般的な話だ。

　俺はあんま気にしてねえけど、まーなんか色々と大変らしくて、だから甘えて欲しいわけで、ええとつまり、なんで俺に秘密なわけ？

　とは、ずっと思っていたりする。