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どうして?
俺はナオの幼馴染だったし、小さな頃にはナオの家に出入りしてたこともあって、知り合ってはやい時期からナオの親父さんにΩが発情期に発するフェロモンにあてられやすいα性の俺は彼の発情期に注意するようにとキツク言われていた。かなりキツク。めっちゃ怖かった。
仲の良い友人を傷つけないよう、ナオの尊厳を守れるようにと、遠回しに…だけどさ。
もちろん当のナオはそんなこと知る由もないわけで。
ただ、俺には未だに一生懸命隠そうとしてるっぽいから、元々気にしてないこともあって知らんぷりで通してる。
今の時代、発情を抑える為の抑制剤はよく効くものが色々と発明されてるらしいし、Ωは大っぴらには社会的弱者と見なされ虐げられるような扱いは受けてねえけど、周りに知られんのはやっぱり嫌そうだしな。
多分過去に色々あったんだろうな、と言うことはその薄っぺらい体型や整った顔立ちから容易に想像がつく。
高校に入ってから今のところ、とくに危ない目には合っていないようだし(俺から以外)、俺と出会ったばかりの頃には、襲いかかってくる男どもは自力で撃退してたみてえだし。
たくさんの悔しい想いと、努力をしてきたんだろうなあと思う。
こいつは強い。だから大丈夫だろう。でも、どうしても大変そうな時は、今は俺だっているんだし。
もう、側にいてもいいと言ってもらえる立場になれたんだから、助けて欲しい時にはそう言って欲しいと思ってるんだけど。
まあ言わねえけどこいつ。
だから俺が勝手にいることにしてんだけど。
だってそうでもしねえと心配だし不安だし。心配だし。何もしてやれねえのは悔しいしつらいし。俺が。
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