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最初の記憶
私は、他の人に比べると幼い頃から
“人の死”に接することが多かった気がする。
私の同年代の人は、自分の親が死ぬまで全く死に接したことがないという人も結構いたと思う。それは、私が育った昭和40~50年代には、都会では既に核家族化が進んでいて、祖父母と同居している人が少なかったからだ。
我が家は狭い家に、祖父母、両親、兄と私の6人家族だった。
祖父の記憶はあまりないのだが、私をかわいがって、よく買い物に連れて歩いていたそうだ。
その祖父が私が4歳の時に亡くなった。寒い1月に駅のホームで心筋梗塞を起こし倒れたのだ。
我が家で“奥座敷”と呼んでいた部屋に布団が敷かれ、祖父が寝かされていたのを見たのが、私が人の死に接した“最初の記憶”だ。
祖父はまるで眠っているようで、幼い私には“死”というものはよく分かっていなかったと思う。だから、怖いという感覚はなかった。
なにやら、黒い服を着た人たち、近所の人や親戚がたくさんの来て、お坊さんも来て、何かしている。それが、“お葬式”というものだとは、理解していなかったような気がする。
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