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父の死
父は若いときに結核を患っていて、それは完治していたのだが、強い薬の副作用で肝臓を痛めていた。それなのに、お酒が好きで晩酌をしていた。
今考えると、休みの日父はよく横になっていた。肝臓をやられているから、怠かったのだと思う。
昔は、今ほど健康診断を受けないとしつこく受けるまで言われる、ということもなかったようで、なんだかんだと理由をつけて受診を逃れていたらしい。
吐血したときは、既に肝硬変の末期で、入院してそれほど持たなかったと思う。ICUから出ることなく亡くなった。
父は、片足が不自由で、母に苦労をかけているのを見ていたので(しかも祖母の嫁いじめもなかなかのものだった)、これで母も楽になると、父が死んでも私は泣きもしなかった。母からは、冷たい娘だと言われたが…(母の大黒柱を失ったという重圧までは想像できなかった。)
父が、祖父のように布団に寝かされているのを見た時、やはり寝ているようだと思った。
生きていることと死ぬことの違いって何だろう、と思った記憶がある。
父が亡くなったのは、高校に入学したばかりの4月だった。まだ、45歳だった。
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